<新型コロナ>PCR検査、日本2万件 なぜ増えない? 高齢者ら受診優先 医療崩壊を回避

2020年3月18日 02時00分
 新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査を巡り世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、各国に徹底的な検査を実施するよう呼び掛けました。日本のPCR検査の件数は一日千件台。韓国やイタリアのように件数が増えないのはなぜでしょうか。 (村上一樹)
 Q 患者の鼻の粘液などにウイルスが含まれるかどうかを判定するPCR検査を、日本では何件実施できるの?
 A 厚生労働省は、十五日現在で一日に七千五百件以上できるとしています。でも実際の実施件数は検査に保険が適用された六日以降も、おおむね一日千件台で推移しています。
 Q 韓国やイタリアの実施件数は?
 A 八日現在の累計で比較すると、日本がクルーズ船を除き約二万一千件なのに対し、韓国は二十一万件と約十倍。イタリアも約五万件と倍以上です。
 Q 韓国では、なぜそんなに検査できたの?
 A 病院の屋外にテントを建て、防護服を着たスタッフが発熱など症状のある市民の検体採取に応じています。車に乗ったまま検体を採取する「ドライブスルー方式」も導入し、一日の検査件数は一万件を超えました。感染発見後の早期の隔離、治療に努めていると言えます。
 Q 日本で件数が増えないのはなぜ?
 A 政府の基本方針は、地域の患者が大幅に増えた場合、軽症者は自宅での安静、療養を原則としています。死者や重症者を出さないため、高齢者や基礎疾患がある人の受診を優先するためという理由です。
 イタリアでは感染が爆発的に広がり、医師、看護師が対応しきれない「医療崩壊」が起きて死者が急増しました。日本でもベッド数の不足や、医師や看護師への感染が起きないようにする必要があります。
 加藤勝信厚労相は「検査を抑制しているわけではない。必要な検査ができるよう努力していく」と説明しています。医療崩壊を防ぎつつ、必要な人には適切に検査できる態勢にすることが求められます。

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